人生でたった一度だけ土下座した話
みなさんは人生で1度でも本気で土下座したことはあるでしょうか...
謝罪やお礼、懇願をするときにドラマでよくみるあの土下座...
友達とかにふざけてする土下座じゃなくて大人に対して本当にする土下座です…
僕はしたことあるんですよね(衝撃)
僕の場合は謝罪だったんですけど、今日はその修羅場のお話をします。
中学生のとき。
数学の授業は習熟度別にエリート・普通・おバカみたいにクラスが分かれていて、クラス移動があった。
数学は至極苦手だったが、選択できたので見栄をはって普通を選択。
たまたま自分のクラスの教室だったが、そのクラス内で出席番号順になったのでいつもの自分の席とは違う席に座る。
気品のある大人しい女の子の席だった。
何回か授業を重ねたある日、数学の時間になって席移動をすると、その子の席の下に小さい子綺麗なノートが落ちていた。
「スターリングノート」
表紙には手書きでそう書いてある。
名前が書いていなかったので、誰のか分からずつい中を見てしまった。(これがすべての始まり)
その中には、人生の主役は私だとか、私が一番だとか、クラスの女子の悪口なんかが書いてある。
今でいうTwitterの裏垢のようなものか。
若干引いてしまったが、書いてある内容で僕が座っている席の子のだということが分かったので、何も見なかったことにしてその子の机にそっと入れた。
...何も見なかったことにはできなかった()
不思議な汗でYシャツが張り付いて気持ち悪い。
数学の授業は何も頭に入ってこない。
自分だけがこの世界の秘密を握ったようななんとも例え難い感覚が僕を覆いつくしていた。
(寒い小説みたいになってきててウケる)
今以上に小僧だった僕は、このことを誰かに言いたくてしょうがなくなってしまう。
放課後は部活があるので、着替えるところに向かう。
校庭のすみっこで着替えるのだが、下校していく生徒の晒しものでしかなかった。
ズボンを脱ぐときの男ほど情けなく見えるものはないよな。
もう既に何人かが先に来ていた。
中学生の鑑とも言えるくだらない世間話や下ネタを話している。
「なんか数学の時間に超面白いもの見つけたんだけどさ」
みんなのところに着くなり、後先考えずに開口一番で話してしまった。
その場では少し盛り上がっただけで、そのまま部活の時間が迫った。
部活のアップが始まった頃には僕の頭にノートの存在はすっかり消えていた。
数日後。
外が暗くなった頃、家の自分の部屋でゴロゴロしていると、少し遠くで母親に呼ばれた。
事態はここから急展開を迎える。
母「なんか担任の先生から電話が来て学校に呼び出されたよ」
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
まったく意味のわからない母からの宣告に動揺しまくった。。。
母からの話を簡単にまとめるとこうなる
ノートの存在を知った友達が教室に忍び込みノートを盗み見た→その女の子をいじった→女の子ショックで母親に相談→その子の母激怒→学校に乗り込みに来た
みたいな感じらしい。
自分がノートの存在をバラさなければこんな事にはならなかった。。。
とりあえず血眼になりながら母親と学校へ向かう。
校長室に入ると、それぞれかかわった人とその親御さん、学校にいた教員人全員が集合していて、今から処刑されるんかってくらい空気が張り詰めていた。
うちのサッカー部の肝が座っている顧問だけは面倒くさそうに耳をほじりながら天井を仰ぐ。
あんまり状況を呑み込めていない僕はとりあえずいくつか並べられた席に座った。
その子のお母さんはものすごい剣幕でお誕生日席(不適切すぎる)に座っている。どうやらその子は不在みたいだ。
そのお母さんが話し始めると、とにかくぶち切れていて、ちょっとやりすぎだけど娘のためにここまでする母ちゃんすげえなとおもった。
そんなこんなでそれぞれこの件に関わった子から親御さんと一緒に謝罪する流れに。
問題はここからだ。
1人目の主犯格がまず初めに処刑台に向かう。
被害者の母親の近くにいくなりいきなり膝まづいた。
その空間にいる全員の視線がその家族に集まり、吹き出しがあったら全員「まさか」と書いてあるような顔をしている。
そのまさかだった...
謝罪の意を述べた後に全力で文字通りの土下座をしていた。
大人の本気の土下座はドラマでしか見たことがなかったから当たり前だが耐性がない。
修羅場の教科書があったら間違いなく写真付きで大きく紹介されていただろう。
きっと被害者のお母さんも驚いていたが、過剰にブチ切れでしまったが為にもう後には戻れない。
ここまで話して勘のいい方は気づくと思うが、後続の我々が土下座をしないわけにはいかないのだ。
そうつまり、これから自分は土下座をするのを待たなければいけない。
逆に土下座というフォーマットをぶち破って体育座りでもしてやろうかとか考えていたので多分まだ余裕があったのだと思う。
最初に謝罪をした彼は土下座のパイオニアとでも言おうか。
とにかくその後は全員が土下座する確定演出にうろたえながら順番を待った。
そしてついに自分の番。
「僕がノートの存在を言わなければこんなことにはならなかったので、本当に反省しています。申し訳ありませんでした。」
デスノートみたいなセリフを言ってしまったが、これは本心だった。
とにかく被害者の子への謝罪の気持ちと、母親にも同じことをさせている申し訳なさで頭がいっぱいだった。
相手の反応。
「反省しているならもういいわ。」
心の声「え、もういいの?もう一回くらいはしますよ?」
こんなにもひたむきに土下座しているのだからもう少し罵ってもらわないとお釣りが出てしまう。
相手的には僕にはそこまで興味がなかったらしく、怒りの矛先も向いていなかったみたい。
なんだかやり損な気さえしてきた。
もちろん加害者全員による土下座はストレートフラッシュに終わり、最後の謝罪人が席に戻ると、被害を受けた子のお母さんからのお許しの言葉を頂いた。
皆は安堵の表情を浮かべているが、まおだけがなぜが不完全燃焼だった。
もしかして1人だけ土下座でオーバーキルしちゃった…?
今でも、あそこで土下座しなかったらどうなっていたかというパラレルワールドを想像してしまう。
考えただけで実刑が下りそうだったので頭の中でその想像を振り払った。
とこんな感じで土下座した話でした
もう完全に自分が悪いんですけどね...(笑)
今でも地元で集まると鉄板の話題になる土下座のお話でした。
ではまた次回。